音楽鑑賞
●斉藤由貴『水響曲』(令3) 代表曲を御本家・武部聡志によりほぼ生楽器でリアレンジ。底にあるものは変らず、厚みある懐かしさが胸を熱くする。歌声はややハスキー? 芯ふくよかでいて、初々しい花弁と枯葉の魅力を併せもつ。儚く強く、芳醇で哀切。あまり好…
ユーチューブに自身のライヴやセッション、宅録等を気まぐれに載せております。https://www.youtube.com/channel/UCw3leKuFjz8mBxI8Ld4UR_A現在の曲目はこちら。①『6番目のユ・ウ・ウ・ツ』【Remix】/つる緒(唄)+境知成子(鍵盤)②『メランコリー』【Quarte…
●沢知美『コンプリートシングルズ』(昭42~47) 芯ある声だが低血圧な趣。ヘッドホンで聴くと下方で寝そべっているみたいに感じる。前半は色香よりモデル的な品性が光り、「すすきの」とか世俗的なテーマにも高級感が。後半は酒量を増した風に凄味を増す。僅…
関西を拠点に御活躍のジャズベーシスト・尾崎薫さん初のリーダーアルバム。メンバーは全曲、 久米田廣道=サックス 野間由起=ピアノ・キーボード 尾崎薫=ベース 松本大=ドラムス のカルテット。収録された10曲すべてに、本人によるみじかい文章(連作で物…
●山口美央子"NIRVANA"(昭56) 主にアイドルに書いた作曲家としての側面に近い明朗さが光る。でもやはり井上鑑との共同アレンジは、ちょい隣の中国から果ては涅槃まで、自在に飛びゆく(私的にはエッジーな"Nirvana"や『秋波』がやっぱり好き)。声がコケティッ…
●斉藤とも子"20ANS"(昭56) 大村憲司、林哲司、瀬尾一三といった当時では最先端?の布陣で丁寧に造られている。独り言のような歌声はニュアンスがきっちり拾われ花ひらく。不似合いに思える快活な曲でもチャーミング。斉藤本人撮影によるメンバーのスナップも…
●おニャン子クラブ"Circle"(昭62) 2枚組1枚目は、ソロデビュー組未発表曲(秋元康ノータッチ)をデビュー順に。こうして振り返ると当人のキャラクターと作家陣による世界観が順序も含めちゃんとメリハリ効いていたなと思う。滑らかな裏声は誰?と思えば内海…
<ピアノソロ集。'74年ベルリン録音>「歌声は同じものを一つとして持たない物質」という話を先刻したが。 楽器だって、身体を鳴らす訳ではないけれど、アルゲリッチ+ラヴェルなんて域ともくれば、ピアノを弾く奏でる叩くといった概念を超えた、もはや自然…
<女優・モデルでの活躍と同等か、ひょっとすると日本ではそれ以上に歌手として名を馳せた稀有な存在。セルジュ・ゲンスブールと組んだ6枚目のアルバム>小林麻美よりも早瀬優香子よりも、バーキンを知ったのは後だった。 高3のとき、某アーティストインタ…
<昭和40年代を中心にセレクトされたお色気歌謡曲のコンピ。著名な辺見マリ『経験』奥村チヨ『恋泥棒』なんかも入っているが、それ以外はほぼ知られざるラグジュアリーな、或いはインモラル、裏街道的な世界観がフェロモンたっぷりに展開される>私の邦楽の…
<ボサノバの生みの親、ジョビンの没後すぐ('95)に出たオムニバス。 本人やジョアン、アストラッド等ボサノバ御本家のメンツに留まらず、ジャズミュージシャンやボーカリストによるプレイも多数収録>ジャズの人々がボサノバを、一時の流行や気まぐれの蜜月…
<デビュー3年目4枚目のアルバム。 ドラマ映画、CMにも引っ張りだこだったこの時期、曲も数多く流れていたものだ。『砂の城』はカセットテープAXIA、"ONE"はカルピス(ウォーターではない)、『街角のスナップ』はNECパソコン(むろんインターネット以前。何…
<80年代、つまり坂本龍一との共同プロデュース期(ほんとに'80~'89年だったみたい)のベスト盤。ラインナップはおなじみ『春咲小紅』や『ひとつだけ』の他、佐野元春とのデュエット『自転車でおいで』、アルバム未収録のシングル『愛がたりない』等々>矢野…
<15枚目のオリジナルアルバム。ユーミンは始めからベテランだったように思ってしまうけれど、この時はまだ20代だった。原田知世に提供した『時をかける少女』『ダンデライオン』も収録>1曲目『ガールフレンズ』の時点で、完全に虜に。 何このイントロ、声…
<『ルビーの指環』"SHADOW CITY"等を収録したオリジナルアルバム。それまでとは真逆とも言える都会的でハードボイルドなAORへの方向転換は、役者業における刑事役とのリンクもあったのかな(因みにジャケ写はドラマ収録中に撮影所の廊下で撮ったのだとか)。…
●浜田真理子"Live. La solitude"(平26) 資生堂や揖保の糸等CM曲の風合い優しいイメージ……と思ってかかると豪い目に遭う。彼女の紡ぐ優しさは闇の隙間から刺す夏の光線、或いは涌く水の凍える冷たさ。一見聴衆をシカトしたかと勘繰る選曲も聴けば一片のムダも…
それぞれ5曲入りのミニアルバム。 作詞作曲、および音のすべて御本人! ボーカル、そしてコンサーティーナ(バンドネオンを小型にした感じの蛇腹楽器)、他にフルート、オルガン、ギター……パーカッション類とか、海のざざざーって音まで。ほぼアンプラグド、…
オツージーさん初のフルアルバム。 作詞作曲は御本人、アレンジおよびミックスはDr.HB氏。カッコいい!30年の歴史に幕を閉じた平成ポップスのカッコいいところを濃縮還元して、カッコ悪いとこすらもチャームにしてしまう底深さ。 これ一枚あったら、他の平成…
ボーカル・ギター=結美 サックス=長谷川和彦 フルート=森本優子 トロンボーン=五島健史 ピアノ=樋上千聡 ベース=李庸恩 パーカッション=西村コージ ギター=カオリーニョ藤原(ゲスト)ボサノババンド・チャイルルの1st。ジョビンのスタンダードの他、…
ギタリスト荻野やすよしさん全作曲・プロデュースによる「音・人・旅(おとなたび、と読む)」のアルバム。 インストは歌よりモノを言う、かもしれない。私事だが、外出先、近場をうろつくにも旅行するにも、決して音楽プレイヤーは持参しない。そこでの景色と…
ジャズボーカリストのMEGU AdawasさんとNaokoさんによるデュオ。ピアノは高岡正人氏。 こちらも、ライヴ鑑賞したのちにアルバムを聴いた。インディーズもしくは完全なる自主製作盤というのはたいてい、アーティスト当人達の求める音楽性とか意志が最も色濃く…
関西拠点にジャズ・ボサノバ・オリジナル曲で御活躍のボーカリスト、シオンさん初のアルバム。スタンダード6曲をピアノの石川武司さんがアレンジ。ギター上川保さん、チェロ成川昭代さん。ライヴに幾度か行かせて戴いているが、こうして音のみで触れてみる…
関西を中心に御活躍のボーカリスト青木美香子さんのアニソンカバー(一部洋楽、オリジナル曲含む)アルバム。かつて前川陽子、堀江美都子、大杉久美子といった歌姫がアニメの幕開けや幕引きを時には本編以上にメロウに輝かしく彩った時代がございました……と過…
●徳丸純子『青のないパレット』(昭58) 全編曲、清水信之。全体は意外とセピア寄りの旧き品よき、明朗さと陰影が半分ずつのアイドル像が丁寧に造られた印象。 でも私的には清水氏らしいエッジの効いた『ガラスの靴はいらない』等がツボ。徳丸さんの声質もベス…
●篠ヒロコ『悪い遊び』(昭45)他 女優業よりも、いずみたく門下からの歌手デビューが先だったとは! アダルティーと青春の間を見事に歌いあげている。 リリースは長く続いたし、ドラマ『金妻』では歌唱シーンもあったそうだから、歌への愛はあるよね? せめて…
●ニャンギラス『最初で最後』(昭61) おニャン子クラブ内の所謂色物ユニット。とは言えかっ飛ばしているのはシングル曲ぐらいで、他は夏終盤のリリースに合わせたアイドルナンバーがならび時に切なくさせられたりも。 樹原亜紀って良い素材だと思う。渋谷系の…
●ハイ・ファイ・セット"COLLECTION"(平元) 2枚組のライヴ盤。代表曲、満遍なく選ばれたアルバム曲、更には前田憲男編曲によるエリントンメドレー等、サービス満点。クールな技巧と豊かな叙情を客席気分で満喫。 私的には山本夫妻デュエットの"OH! LUCKY LAD…
●森山加代子『しんぐるこれくしょん』 '70年代の歌唱。新たに開拓したサンバ路線、往年の洋楽、そして酒と煙草の似合うミディアム歌謡(西田佐知子っぽい感じ)……どのジャンルも、年季を入れた重みと軽快さを伴い響く。 私的には単調ゆえに説得力の要りそうな…
●二葉あき子『フランチェスカの鐘』 声楽出身の流行歌手が多くいた中で最も演技派なのでは?「二葉あき子と知れずとも良い」とばかりに曲により像を見事に変えて見せる(ただ低音で凄む女を演じる様子は少しぎこちなく可愛い)。 好きなのは『村の一本橋』。和…
●吉田美奈子"FLAPPER"(昭51) 自作曲は少ないが、当時のファミリー勢揃いで豪奢なサーカスの如く真摯にふざけていて、乙女なポップスでもやさぐれ歌謡曲風味でも、後年のような仙境を思わせる曲でも、美奈子さんは平等に、メインボーカルと言うより楽器の一種…