武川蔓緒(つる緒)の頁

みじかい小説を書きます。音楽や映画の感想つぶやきます。たまに唄います。成分の80%は昭和です。

音楽を聴く<12>

おニャン子クラブ"Circle"(昭62)
2枚組1枚目は、ソロデビュー組未発表曲(秋元康ノータッチ)をデビュー順に。こうして振り返ると当人のキャラクターと作家陣による世界観が順序も含めちゃんとメリハリ効いていたなと思う。滑らかな裏声は誰?と思えば内海和子。シングルでも活用すれば良かったのに。

原田知世『恋愛小説3~You&Me』(令2)
慎ましいジャケ写の印象よりも花は繚乱咲き誇り、果実は豊潤で芳醇。カバー集だが塗り替える力強さと快い脱力加減があり、愉しげ。大瀧→大貫→ユーミン→坂本というフルコースの前半には終始酔わされ泣かされる。特にストリングスの絡め方が艶かしく、優美。

斉藤由貴『聖夜』(平4)
クリスマスに観たDVD。確かWOWOWで放送した後ソフト化されたもの。ホールライヴであるが、無観客(!)。代表曲は殆ど歌わず、内面と向き合う一人芝居風な、ややデカダン寄りな選曲で綴る。30年近く前ながら、奇しくも今また新たな感慨を覚えた。ヴァイオリンに斉藤ネコが参加。

柏原芳恵"LUSTER"(昭59)
この人の歌は基本芯がありつつ、意図か天然か、よろめきを垣間見せるとこが魅力だと思うのだけど。テクノポップ(!)の楽曲、殊に短調のナンバーは不思議に寄り添い、妖しさを一層引き立てている。どんな清らで明朗な言葉も、あられもない艶姿で言ってるような気がしてしまう。

小川知子"Milky Way"(昭48)
作曲家3人の方向性が見事にバラバラだが、なかにし礼によるデカダン薫る糸で綺麗に編まれ、歌唱もまた消え入りそうな儚さから、音が割れる程の絶叫まで、見事に応える。可愛いジャケ写に反し船酔いするほど揺さぶられた。私的には三保敬太郎によるボサ『女の館』がベスト。


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