武川蔓緒(つる緒)の頁

みじかい小説を書きます。音楽や映画の感想つぶやきます。たまに唄います。成分の80%は昭和です。

青木美香子『りぼんとなかよし』(平29)

f:id:mukawatsuruo:20190909115346j:plain関西を中心に御活躍のボーカリスト青木美香子さんのアニソンカバー(一部洋楽、オリジナル曲含む)アルバム。

かつて前川陽子堀江美都子大杉久美子といった歌姫がアニメの幕開けや幕引きを時には本編以上にメロウに輝かしく彩った時代がございました……と過去形で括るのもナンだが実際もう昭和の終り頃にはアイドルやアーティストに役割はほぼ替えられてしまっていた訳で。青木さんのボーカルは華やかなる諸先輩方を踏襲、リスペクトしながら、しかし縛られることなく「今」のハリとツヤをあらわしている。

さて一方でバックを務めるは、ジャズユニット(Cornus Kousa)+チンドン屋(ちんどん通信社)+二胡奏者(小林寛明氏)……と、アコースティック主体でありつつちょっと異色な顔ぶれ。

アレンジはピアノの上村美智子さんとベースの中村仁美さんとで分けあっているのだが。元より懐かしきアニソンに造詣の深いウエムラさんは原典を骨までしゃぶり尽くす勢いの楽しみ方で、『妖怪にご用心』(ドロロンえん魔くん)なんて原曲は存外ライトなフォーク歌謡であるのをスピード半分に落としねっとりブルージーに、歌詞の妖怪濃度を10倍ぐらいまで上げているし、ヴァイオリンでなく二胡により情念を一滴のこらず絞りだした『美しさは罪』(パタリロ!)も実に興味深い。

ナカムラさんはある種曲からアニメの画を一旦切り離して、三割あるいは七割ぐらいの状態から自身の手腕で調理しなおす感じ。大人っぽいジャズに染めた『魔法使いサリー』、ラテンアレンジの『ムーンライト伝説』(セーラームーン)とかかっこいい(個人的にツボに入ったのは『君をのせて』(天空の城ラピュタ)の「♪つめこんでー」におけるコード進行)。

青木さんのページにて購入出来るかと。
http://aokimikako.com/archives/1891


©️2019TSURUOMUKAWA