武川蔓緒(つる緒)の頁

みじかい小説を書きます。音楽や映画の感想つぶやきます。たまに唄います。成分の80%は昭和です。

ドラマ『非情のライセンス』鑑賞記録<七>

<昭和48~55年、天知茂が特捜部刑事を演じたドラマシリーズ。好みのエピソードの感想を書いてゆきます。ネタバレを多少含みますので御注意を>第2シリーズ42話『兇悪の時効』 かつて赤線にいた女二人の数奇な運命が、当時の?モノクロ写真をフラッシュバッ…

ドラマ『非情のライセンス』鑑賞記録<六>

<昭和48~55年、天知茂が特捜部刑事を演じたドラマシリーズ。好みのエピソードの感想を書いてゆきます。ネタバレを多少含みますので御注意を>第2シリーズ17話『兇悪の誇り』 岡田光治によるやはりデコラティヴな脚本で、主演は加茂さくら。元子爵家令嬢で…

ドラマ『非情のライセンス』鑑賞記録<伍>

<昭和48~55年、天知茂が特捜部刑事を演じたドラマシリーズ。好みのエピソードの感想を書いてゆきます。ネタバレを多少含みますので御注意を>第2シリーズ7話『兇悪の黒い天使』 ゲスト影万里江。弘田三枝子かしばたはつみのようなルックスとアーモンドな…

ドラマ『非情のライセンス』鑑賞記録<四>

<昭和48~55年、天知茂が特捜部刑事を演じたドラマシリーズ。好みのエピソードの感想を書いてゆきます。ネタバレを多少含みますので御注意を>第2シリーズ1話『兇悪のアリバイ』 ゲスト中村玉緒。木暮実千代の回と似て、女優にクローズアップし過ぎてエピ…

ドラマ『非情のライセンス』鑑賞記録<参>

<昭和48~55年、天知茂が特捜部刑事を演じたドラマシリーズ。好みのエピソードの感想を書いてゆきます。ネタバレを多少含みますので御注意を>●第1シリーズ41話『兇悪の試験地獄』 受験は大して描かれず。受験生の母(福田公子)をはじめとする、きれいに装…

ドラマ『非情のライセンス』鑑賞記録<弐>

<昭和48~55年、天知茂が特捜部刑事を演じたドラマシリーズ。好みのエピソードの感想を書いてゆきます。ネタバレを多少含みますので御注意を>●第1シリーズ21話『兇悪のメロディー』 ゲスト佐藤友美。まるで岸惠子が演じた雪女みたいな、凍てついた美女ぶ…

ドラマ『非情のライセンス』鑑賞記録<壱>

<天知茂が特捜部刑事を演じたドラマシリーズ。基本ハードボイルドだが、回によってセクシーあり、直球な社会風刺あり、人情やユーモアもあり。ゲストは毎度、当時の名バイプレイヤーから、若手、大御所、流行歌手まで数多く登場。70年代カルチャーも楽しめ…

映画・ドラマを観る<6>

●映画『8 1/2』(昭38) カメラは止らず、主人公を軸に、いや時に外し、近辺・夢想・過去で生きる者達を光と影に踊らせ、喋らせる。後半分り易く「夫婦」に焦点が合うが、それ以外の混沌が美しい。美女もデブも老人も、皆同等に脚光を浴び脈打ち、魅惑的。 「…

音楽を聴く<16>

●斉藤由貴『水響曲』(令3) 代表曲を御本家・武部聡志によりほぼ生楽器でリアレンジ。底にあるものは変らず、厚みある懐かしさが胸を熱くする。歌声はややハスキー? 芯ふくよかでいて、初々しい花弁と枯葉の魅力を併せもつ。儚く強く、芳醇で哀切。あまり好…

ユーチューブで音楽。

ユーチューブに自身のライヴやセッション、宅録等を気まぐれに載せております。https://www.youtube.com/channel/UCw3leKuFjz8mBxI8Ld4UR_A現在の曲目はこちら。①『6番目のユ・ウ・ウ・ツ』【Remix】/つる緒(唄)+境知成子(鍵盤)②『メランコリー』【Quarte…

映画・ドラマを観る<5>

●映画『レベッカ』(昭15) ヒッチコック作品。何の予備知識もなく観たので、お化け屋敷の幻想譚みたいな前半から、現実的?な方向への転換に面喰らったが。屋敷の内部は美しく。仮装(仮面ではない)舞踏会のシーンも良かった。私的にナンバーワンの衣裳は、冒…

音楽を聴く<15>

●沢知美『コンプリートシングルズ』(昭42~47) 芯ある声だが低血圧な趣。ヘッドホンで聴くと下方で寝そべっているみたいに感じる。前半は色香よりモデル的な品性が光り、「すすきの」とか世俗的なテーマにも高級感が。後半は酒量を増した風に凄味を増す。僅…

尾崎薫『光』(令元)

関西を拠点に御活躍のジャズベーシスト・尾崎薫さん初のリーダーアルバム。メンバーは全曲、 久米田廣道=サックス 野間由起=ピアノ・キーボード 尾崎薫=ベース 松本大=ドラムス のカルテット。収録された10曲すべてに、本人によるみじかい文章(連作で物…

音楽を聴く<14>

●山口美央子"NIRVANA"(昭56) 主にアイドルに書いた作曲家としての側面に近い明朗さが光る。でもやはり井上鑑との共同アレンジは、ちょい隣の中国から果ては涅槃まで、自在に飛びゆく(私的にはエッジーな"Nirvana"や『秋波』がやっぱり好き)。声がコケティッ…

映画・ドラマを観る<4>

●映画『舞踏会の手帖』(昭12) 若き日に舞踏会で踊った男達を訪ねて回る未亡人。以前観た時は男ってダメだなと思ったけど、もしや翻弄され疲弊してるのは女の方?という気も。回想或いは妄想?の舞踏会シーンの美しさと、今にも崩れそうにユラユラしてる医院…

音楽を聴く<13>

●斉藤とも子"20ANS"(昭56) 大村憲司、林哲司、瀬尾一三といった当時では最先端?の布陣で丁寧に造られている。独り言のような歌声はニュアンスがきっちり拾われ花ひらく。不似合いに思える快活な曲でもチャーミング。斉藤本人撮影によるメンバーのスナップも…

音楽を聴く<12>

●おニャン子クラブ"Circle"(昭62) 2枚組1枚目は、ソロデビュー組未発表曲(秋元康ノータッチ)をデビュー順に。こうして振り返ると当人のキャラクターと作家陣による世界観が順序も含めちゃんとメリハリ効いていたなと思う。滑らかな裏声は誰?と思えば内海…

映画・ドラマを観る<3>

映画『東京の女』(昭8) 短篇ながら重く、でも無声ゆえ淡々として。 独り洋画な江川宇礼雄、独り和風な田中絹代、間をゆく岡田嘉子。バラバラなピースがシュールさを生む。 筋書きを逆に飾りとするかの如く、時計店?で掛け時計が並ぶ中電話を借りる田中、酒…

映画・ドラマを観る<2>

●ドラマ『シャツの店』(昭61) 山田太一脚本、鶴田浩二の遺作。厳格そうなシャツ職人と思いきや、妻(八千草薫)に逃げられ見習い(平田満)に依存するわ、酔ってホステスの胸を揉みまくるわと、イメージに無いダメっぷりを見せてくれる。なんとスナックのカラオ…

映画・ドラマを観る<1>

●ドラマ『岸辺のアルバム』(昭52) 山田太一の代表作ながら、私は「妻の不倫と水害」しか予備知識なく。キャラ達の存外ヘビーな設定のミルフィーユがずっしりくる。でもジャニス・イアンの一見優雅だが端々でふいに感情が荒立つ主題歌と最も共鳴していたのは…

私的すたんだーどなんばー<玖>マルタ・アルゲリッチ『ラヴェル:夜のガスパール/ソナチネ/高雅で感傷的なワルツ』(昭49)

<ピアノソロ集。'74年ベルリン録音>「歌声は同じものを一つとして持たない物質」という話を先刻したが。 楽器だって、身体を鳴らす訳ではないけれど、アルゲリッチ+ラヴェルなんて域ともくれば、ピアノを弾く奏でる叩くといった概念を超えた、もはや自然…

私的すたんだーどなんばー<捌>ジェーン・バーキン『ロスト・ソング』(昭62)

<女優・モデルでの活躍と同等か、ひょっとすると日本ではそれ以上に歌手として名を馳せた稀有な存在。セルジュ・ゲンスブールと組んだ6枚目のアルバム>小林麻美よりも早瀬優香子よりも、バーキンを知ったのは後だった。 高3のとき、某アーティストインタ…

私的すたんだーどなんばー<漆>『魅惑のムード☆秘宝館』

<昭和40年代を中心にセレクトされたお色気歌謡曲のコンピ。著名な辺見マリ『経験』奥村チヨ『恋泥棒』なんかも入っているが、それ以外はほぼ知られざるラグジュアリーな、或いはインモラル、裏街道的な世界観がフェロモンたっぷりに展開される>私の邦楽の…

私的すたんだーどなんばー<陸>淡谷のり子『私の好きな歌』(昭26~34)

SP盤の魅力に取り憑かれるきっかけをくれたのはこの御方。鈴木清順監督による映画『夢二』のエンディングで流れていた『宵待草』が出会い(あの音源は未だ手に入れてないのだけど、いつ頃歌ったものだったのかな?)。 以後、NHKの『ラジオ深夜便』等で流れて…

私的すたんだーどなんばー<伍>アントニオ・カルロス・ジョビン『ジョビン・ソングブック』

<ボサノバの生みの親、ジョビンの没後すぐ('95)に出たオムニバス。 本人やジョアン、アストラッド等ボサノバ御本家のメンツに留まらず、ジャズミュージシャンやボーカリストによるプレイも多数収録>ジャズの人々がボサノバを、一時の流行や気まぐれの蜜月…

私的すたんだーどなんばー<肆>斉藤由貴『風夢』(昭62)

<デビュー3年目4枚目のアルバム。 ドラマ映画、CMにも引っ張りだこだったこの時期、曲も数多く流れていたものだ。『砂の城』はカセットテープAXIA、"ONE"はカルピス(ウォーターではない)、『街角のスナップ』はNECパソコン(むろんインターネット以前。何…

私的すたんだーどなんばー<参>矢野顕子"HOME MUSIC Ⅱ"(昭55~62)

<80年代、つまり坂本龍一との共同プロデュース期(ほんとに'80~'89年だったみたい)のベスト盤。ラインナップはおなじみ『春咲小紅』や『ひとつだけ』の他、佐野元春とのデュエット『自転車でおいで』、アルバム未収録のシングル『愛がたりない』等々>矢野…

私的すたんだーどなんばー<弐>松任谷由実"VOYAGER"(昭58)

<15枚目のオリジナルアルバム。ユーミンは始めからベテランだったように思ってしまうけれど、この時はまだ20代だった。原田知世に提供した『時をかける少女』『ダンデライオン』も収録>1曲目『ガールフレンズ』の時点で、完全に虜に。 何このイントロ、声…

私的すたんだーどなんばー<壱>寺尾聰"Reflections"(昭56)

<『ルビーの指環』"SHADOW CITY"等を収録したオリジナルアルバム。それまでとは真逆とも言える都会的でハードボイルドなAORへの方向転換は、役者業における刑事役とのリンクもあったのかな(因みにジャケ写はドラマ収録中に撮影所の廊下で撮ったのだとか)。…

音楽を聴く<11>

●浜田真理子"Live. La solitude"(平26) 資生堂や揖保の糸等CM曲の風合い優しいイメージ……と思ってかかると豪い目に遭う。彼女の紡ぐ優しさは闇の隙間から刺す夏の光線、或いは涌く水の凍える冷たさ。一見聴衆をシカトしたかと勘繰る選曲も聴けば一片のムダも…