2020-01-01から1年間の記事一覧
映画『東京の女』(昭8) 短篇ながら重く、でも無声ゆえ淡々として。 独り洋画な江川宇礼雄、独り和風な田中絹代、間をゆく岡田嘉子。バラバラなピースがシュールさを生む。 筋書きを逆に飾りとするかの如く、時計店?で掛け時計が並ぶ中電話を借りる田中、酒…
●ドラマ『シャツの店』(昭61) 山田太一脚本、鶴田浩二の遺作。厳格そうなシャツ職人と思いきや、妻(八千草薫)に逃げられ見習い(平田満)に依存するわ、酔ってホステスの胸を揉みまくるわと、イメージに無いダメっぷりを見せてくれる。なんとスナックのカラオ…
●ドラマ『岸辺のアルバム』(昭52) 山田太一の代表作ながら、私は「妻の不倫と水害」しか予備知識なく。キャラ達の存外ヘビーな設定のミルフィーユがずっしりくる。でもジャニス・イアンの一見優雅だが端々でふいに感情が荒立つ主題歌と最も共鳴していたのは…
<ピアノソロ集。'74年ベルリン録音>「歌声は同じものを一つとして持たない物質」という話を先刻したが。 楽器だって、身体を鳴らす訳ではないけれど、アルゲリッチ+ラヴェルなんて域ともくれば、ピアノを弾く奏でる叩くといった概念を超えた、もはや自然…
<女優・モデルでの活躍と同等か、ひょっとすると日本ではそれ以上に歌手として名を馳せた稀有な存在。セルジュ・ゲンスブールと組んだ6枚目のアルバム>小林麻美よりも早瀬優香子よりも、バーキンを知ったのは後だった。 高3のとき、某アーティストインタ…
<昭和40年代を中心にセレクトされたお色気歌謡曲のコンピ。著名な辺見マリ『経験』奥村チヨ『恋泥棒』なんかも入っているが、それ以外はほぼ知られざるラグジュアリーな、或いはインモラル、裏街道的な世界観がフェロモンたっぷりに展開される>私の邦楽の…
SP盤の魅力に取り憑かれるきっかけをくれたのはこの御方。鈴木清順監督による映画『夢二』のエンディングで流れていた『宵待草』が出会い(あの音源は未だ手に入れてないのだけど、いつ頃歌ったものだったのかな?)。 以後、NHKの『ラジオ深夜便』等で流れて…
<ボサノバの生みの親、ジョビンの没後すぐ('95)に出たオムニバス。 本人やジョアン、アストラッド等ボサノバ御本家のメンツに留まらず、ジャズミュージシャンやボーカリストによるプレイも多数収録>ジャズの人々がボサノバを、一時の流行や気まぐれの蜜月…
<デビュー3年目4枚目のアルバム。 ドラマ映画、CMにも引っ張りだこだったこの時期、曲も数多く流れていたものだ。『砂の城』はカセットテープAXIA、"ONE"はカルピス(ウォーターではない)、『街角のスナップ』はNECパソコン(むろんインターネット以前。何…
<80年代、つまり坂本龍一との共同プロデュース期(ほんとに'80~'89年だったみたい)のベスト盤。ラインナップはおなじみ『春咲小紅』や『ひとつだけ』の他、佐野元春とのデュエット『自転車でおいで』、アルバム未収録のシングル『愛がたりない』等々>矢野…
<15枚目のオリジナルアルバム。ユーミンは始めからベテランだったように思ってしまうけれど、この時はまだ20代だった。原田知世に提供した『時をかける少女』『ダンデライオン』も収録>1曲目『ガールフレンズ』の時点で、完全に虜に。 何このイントロ、声…
<『ルビーの指環』"SHADOW CITY"等を収録したオリジナルアルバム。それまでとは真逆とも言える都会的でハードボイルドなAORへの方向転換は、役者業における刑事役とのリンクもあったのかな(因みにジャケ写はドラマ収録中に撮影所の廊下で撮ったのだとか)。…
●浜田真理子"Live. La solitude"(平26) 資生堂や揖保の糸等CM曲の風合い優しいイメージ……と思ってかかると豪い目に遭う。彼女の紡ぐ優しさは闇の隙間から刺す夏の光線、或いは涌く水の凍える冷たさ。一見聴衆をシカトしたかと勘繰る選曲も聴けば一片のムダも…