武川蔓緒(つる緒)の頁

みじかい小説を書きます。音楽や映画の感想つぶやきます。たまに唄います。成分の80%は昭和です。

映画・ドラマを観る<2>

●ドラマ『シャツの店』(昭61)
山田太一脚本、鶴田浩二の遺作。厳格そうなシャツ職人と思いきや、妻(八千草薫)に逃げられ見習い(平田満)に依存するわ、酔ってホステスの胸を揉みまくるわと、イメージに無いダメっぷりを見せてくれる。なんとスナックのカラオケで本人が代表曲を歌ってくれる場面も。

●映画『二人だけの砦』(昭38)
任侠譚か?団地の群像劇か?……結局は定義づけられぬ渋谷実監督の珍品。役者全員、奔放に一人芝居してるみたいなバラバラ加減は、世相を丹念に斬るようでも、孤高のユーモアを積むようでもある。ミヤコ蝶々の達者ぶりもアイ・ジョージの唄も、総て同等なパズルの1ピース。

●映画『青春怪談』(昭30)
太字で描いた風なキャラ描写。乙女全開な轟夕起子も怪演だが、三橋達也北原三枝のクールな美男美女を越え白く骨ばった霊みたいな風情もよろしい。ハイカラな三橋の自宅や、戦後十年の浅草など景色も趣深い。因みに原作は獅子文六、別会社による映画版も同日公開だったとか。

●映画『若き日のあやまち』(昭27)
この時代の妙に大人びた或いは老成したルックスや所作の女学生・教師の像って、何とも趣深く厳粛で奇怪でユーモラス。本作は題の通り、厳格ゆえ?男女共貞操の面がヒビ割れスリリング。風俗街の描写も面白かったが、婦人向けの性指南的な雑誌があったのにも驚き。

●映画『歌え若人達』(昭38)
流石は木下恵介監督、色んな意味で棒読みな暮しぶりの男子寮生たちをチャーミングに描く(脚本は山田太一!)。一枚上手な冨士眞奈美倍賞千恵子も良い。ケータイがなくとも「○○さんお電話(又は電報)です」と若水ヤエ子が放送で報せてくれます。スターも数多くカメオ出演


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