武川蔓緒(つる緒)の頁

みじかい小説を書きます。音楽や映画の感想つぶやきます。たまに唄います。成分の80%は昭和です。

ドラマ『非情のライセンス』鑑賞記録<四>

<昭和48~55年、天知茂が特捜部刑事を演じたドラマシリーズ。

好みのエピソードの感想を書いてゆきます。ネタバレを多少含みますので御注意を>

第2シリーズ1話『兇悪のアリバイ』
ゲスト中村玉緒木暮実千代の回と似て、女優にクローズアップし過ぎてエピソードの印象は淡くなった感じ。しかし流石は百戦錬磨、機微を表情で丹念に描く様は圧巻。
前シリーズから半年、山村聰渡辺文雄との掛け合いも変わりなく。左とん平も転生して登場(笑)。

第2シリーズ2話『兇悪の傷痕』
ゲスト江波杏子市原悦子。両極とも言える二人、前半江波、後半市原と分ける塩梅で魅力をねっとりと、巧みに描いていた。
ラストに結婚式という、ドラマに最も縁遠いシチュエーションに驚愕。新郎が面妖なパーマにグラサンでさらに驚愕(回想シーンの地味な顔と見分けつかない。男も化ける70年代)。

第2シリーズ3話『兇悪の序曲』
ゲスト宮本信子。前半はあまりにも地味で誰かわからず。後半は映画『お葬式』を彷彿させるような、虚ろな眼差しでいて少し角度が変われば艶と狂気を滲ませる文楽人形みたいな有り様が素敵。取調室でのカットバックが美しく。
一方で、すこぶる陽気にサイコパスを演じる財津一郎がまた怖かった。

第2シリーズ4話『兇悪の火』
ゲスト夏純子。
バニーガール姿で「どうして美弥をいぢめるの?」等というぶりっ子も、現代のそれとは全く違った妙味(むろんそのままで終らないし)。
ふつうのアパートに住んでいたが、電話は引かれていないようで管理人室で借りていた。この時代はそんなものか?

第2シリーズ5話『兇悪のカナリヤ』
ゲスト池玲子
スターの座から転がり堕ちゆく様を、カットバックを多用した表情と肢体で、これでもかと魅せる。単なる色物ではない、骨太な存在感。
クスリに溺れる人物は幾度も出てきたが、鉄格子の病院に入る場面は初めて?
ステージシーンでもフェロモン歌謡『変身』を披露。


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