武川蔓緒(つる緒)の頁

みじかい小説を書きます。音楽や映画の感想つぶやきます。たまに唄います。成分の80%は昭和です。

音楽を聴く<16>

斉藤由貴『水響曲』(令3)
代表曲を御本家・武部聡志によりほぼ生楽器でリアレンジ。底にあるものは変らず、厚みある懐かしさが胸を熱くする。歌声はややハスキー? 芯ふくよかでいて、初々しい花弁と枯葉の魅力を併せもつ。儚く強く、芳醇で哀切。あまり好きでなかった曲でも、見知らぬ側面が芳しい。

渡辺満里奈"Mood Moonish"(平3)
エドツワキによるビビッドなアートワークと、松本晃彦による重厚な編曲とで拓かれる異空間を、ウィスパー寄りの歌が旅してゆく。私的には甘くもシニカルな『キス・キス・キス』とか、明瞭なメルヘンでもカワイイでもない独自の世界観を築いた『夜間遊泳』が好き。

今井美樹"Premium ensemble concert"(令2)
弦楽アンサンブルと組んだ35周年ライヴ。アルバムも出たが、未収録の映画チックな『年下の水夫』『半袖』『野性の風』が嬉しい。一見不似合いそうな『彼女とTIP ON DUO』も実にいい。「弦楽=ヘビーな楽曲」ではないよと、円熟の歌声と共に腕を広げ教える。

鷲尾いさ子『彼女の風/20才のデリカシー』(昭62)
一人のモデルを恍惚の歌姫にしてしまった。
楽曲は無人の聖堂、言葉は美麗なタイル。女は誰も求めず裸足で歩み又は浮き、タイルを掌で弄び整然と合せきらず、空間を一層シュールに飾る。
編曲は萩田光男と山川恵津子、作詞は川村真澄、石川あゆ子他。

小泉今日子『唄うコイズミさん』(令2)
配信ライヴ。近年舞台に力を入れているからか歌声も昔よりハリがある。『あなたに会えてよかった』なんて当時の3倍ぐらい響いてきて、涙。
全編ピアノ&ギターでオリジナルを忠実になぞりながら、「はいから人魚のイントロかっこいい」とか気づかせてくれる。


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