武川蔓緒(つる緒)の頁

みじかい小説を書きます。音楽や映画の感想つぶやきます。たまに唄います。成分の80%は昭和です。

音楽を聴く<5>

二葉あき子『フランチェスカの鐘』
声楽出身の流行歌手が多くいた中で最も演技派なのでは?「二葉あき子と知れずとも良い」とばかりに曲により像を見事に変えて見せる(ただ低音で凄む女を演じる様子は少しぎこちなく可愛い)。
好きなのは『村の一本橋』。和ジャズの奇怪な波に乗りつつ演じるは村娘。

津村謙『SP盤再録によるヒットアルバム』
『リル』だけに非ず。チャイナな演奏なのに舞台がロシアの『マルーシャ可愛いや』や、ジャパネスクな民謡調『月夜の笛』等々、異国(又は自国)情緒をも通り越し寓話の域に踏み込んだ曲がこの上なく映える声。後年になるほど個性が極まっていたのでないか?

渡辺真知子『フォグ・ランプ』(昭53)
豪奢な印象だった3rdに較べ2ndは内省的な曲が多い。デビュー時より忙殺されていたろう日々にふと立ち止まる風な。「誰も私を見ないで」「私は逃げた鳥」とか、素で仰ってます?と今更要らぬ心配を。声は強靭なので少々演歌魂も薫った切なさが興味深い。

芳本美代子"I'm the one"(昭62)
当時18にして正統アイドルから脱皮を図る。大村雅朗によるポジティヴポップ"Kiss The Sky"、エスニックな『フェリアの娘』、オールディーズ調が意外な久保田利伸作"Real Time"等予想せぬ展開が次々と。全作詞・戸沢暢美。

久保田早紀『ネフェルティティ』(昭58)
活動後期の盤はCD生産が少ないが忘れてならぬ名盤揃い。本作は編曲若草恵。南国から北欧……そして東京と分散した舞台を選び、詞の女性像も神々しき存在から少女、蓮っ葉な佇まい迄演じるが破綻なく、凛々しき1枚。出色はラヴェルボレロ調の『砂の城』。


©️2019TSURUOMUKAWA