武川蔓緒の頁

みじかい小説を書きます。音楽や映画の感想つぶやきます。たまに唄います。成分の80%は昭和です。

音楽を聴く<4>

吉田美奈子"FLAPPER"(昭51)
自作曲は少ないが、当時のファミリー勢揃いで豪奢なサーカスの如く真摯にふざけていて、乙女なポップスでもやさぐれ歌謡曲風味でも、後年のような仙境を思わせる曲でも、美奈子さんは平等に、メインボーカルと言うより楽器の一種として、笑顔でいる気がする。

木之内みどり『横浜いれぶん』(昭53)
腹から歌うよりも、音域を狭め、まるで即興で呟くかのように歌を紡ぐべき人と思う。アルディか森田童子みたいな?
しかしフォーク楽曲のみならずフュージョン寄りの"Yellow&Blue"や『まだ手探りしている天使』でも魅力が発揮されるのが興味深い。

柴咲コウ『蜜』(平16)
「歌わせたら思いの外巧かった」「女優業(ルックス)抜きに考えても余りある、哀感をふくんだ存在感」「ゆえに、クリエイトの熱量も上がる」という流れは、キャラこそ違うが薬師丸ひろ子と似た宿命の色を感じる。
松井五郎の言葉遊びが愉快な『浮雲』が私的にスルメ曲。

ハイ・ファイ・セットジブラルタル』(昭62)
高尚と低俗、両極をゆく虚構のアッパークラスの孤高・享楽・退廃がマーブルとなり、シンセ中心の編曲の中で時世不明に薫る……何を唄っても洗練ぶりを崩さぬハイファイも、ここでは完成度を逆手に取り毒気色気、絢爛さのループする舞踏会を繰り広げ。

稲垣潤一"NO STRINGS"(昭60)
アルバムで聴くと、だんだん稲垣でなく、知らぬ異国の少年が唄うように思えてくる。彼を前に手ごわい大人が集い手練手管使っても、これ作ったの全部彼だっけ? と感じる。
殊にこの盤はジャケ写のクールさに反し若さが泉の如く溢れ止らない、という印象。


©️2019TSURUOMUKAWA