武川蔓緒(つる緒)の頁

みじかい小説を書きます。音楽や映画の感想つぶやきます。たまに唄います。成分の80%は昭和です。

音楽を聴く<15>

●沢知美『コンプリートシングルズ』(昭42~47)
芯ある声だが低血圧な趣。ヘッドホンで聴くと下方で寝そべっているみたいに感じる。前半は色香よりモデル的な品性が光り、「すすきの」とか世俗的なテーマにも高級感が。後半は酒量を増した風に凄味を増す。僅か5年ながら流行歌の変遷も感じられる一枚。

奈良光枝『スター☆デラックス』(昭15~30)
全編SP盤だけども、昭和30年頃の曲になるとノイズもなくライヴ感溢れ……シンプルな編曲の『シクラメン咲けど』は特に、沁みる。
主に古賀政男作品で哀感漂わすイメージが強いが、服部良一による幸福な『恋の山彦』、シノワズリな『翡翠の曲』も印象深い。

飯島真理"Rose"(昭58)
坂本龍一プロデュース。『まりン』しか知らなかったので無難にカワイイ盤と思いきや。ちゃんと?教授色。
全作曲は飯島だが、その描写もボーカルもちゃんと?狂気とシュールさとある種の純粋さを孕み。もしや、細野晴臣における戸川純に匹敵するカップリングなのか?と思ったり。

岩崎宏美『戯夜曼』(昭60)
意味ありげな題名が並ぶが、アダルトでデカダンな世界を期待すればやや肩透かし。わりあい年相応、煌びやかでポップで、アイドル的と言える曲もある。そして宏美さんは、本牧バーで酔ってもペルシャで戯れても、気高さを失わず眩しい。寧ろ俗世を俯瞰で眺めるかのよう。

スウィング・アウト・シスターカレイドスコープ・ワールド』(平元)
プロデューサーが谷村有美と仕事したことある人物なのも合点がゆく、89年らしいお洒落さ、ポップさ、厚み。明と暗とが自然にある。
でもベスト盤聴いた大昔も今も、一番好きな曲はボートラの『コニーアイランドマン』だったりして。


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