武川蔓緒(つる緒)の頁

みじかい小説を書きます。音楽や映画の感想つぶやきます。たまに唄います。成分の80%は昭和です。

音楽を聴く<9>

●篠ヒロコ『悪い遊び』(昭45)他
女優業よりも、いずみたく門下からの歌手デビューが先だったとは! アダルティーと青春の間を見事に歌いあげている。
リリースは長く続いたし、ドラマ『金妻』では歌唱シーンもあったそうだから、歌への愛はあるよね? せめて纏まったベスト盤を出して戴きたいもの。

ゲルニカ『改造への躍動』(昭57)
歪んだSP盤の流行歌、近代~現代音楽、テクノポップ……等の狂おしき融合。波動を総て受け止め怪演で応える戸川純。楽曲が戸川を寄せたか戸川が楽曲を寄せたか? 不明だが。何にせよゲルニカを私はあまり聴かない。聴くと他の大概の音楽がつまらなくなる気がして。

坂田晃一『テレビドラマテーマトラックス2』
殊に70年代邦楽のメランコリーと郷愁の象徴か、結晶体のようなエバーグリーンの存在と思う。詞どころか歌手名までをも切なく響かす。歌声が石川セリに限らず少し異国の人に感じられるのも趣深い。
ところでドラマのデータを読むとどれも観たくて堪らん!

朝丘雪路ゴールデン☆ベストVol.2』(昭33~37)
ジャズでもラテンでもムード歌謡でも、男性に負けぬ声の重量感を出すかと思えばちゃっかり娘役の顔に戻ったりヅカも仰天の婀娜っぽさがあったり……
霧か煙草の如く漂わす吐息のテクニックが特に絶品だと思う。乙女の時も女豹の時も、映える。

寿美花代寿美花代とともに』(昭36~37)
宝塚トップ時代。しっとり聴かせる『ビーナス』から興奮の頂点『華麗なる千拍子』迄、歌劇役者の盤ならではの緩急と臨場感に姿なくとも胸躍る(編曲は前田憲男他)。「男」役に固執せぬ風な声はどんなテンションの曲も茶目っ気を含ませ優しく包み込む。


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