武川蔓緒(つる緒)の頁

みじかい小説を書きます。音楽や映画の感想つぶやきます。たまに唄います。成分の80%は昭和です。

ドラマ『非情のライセンス』鑑賞記録<弐>

<昭和48~55年、天知茂が特捜部刑事を演じたドラマシリーズ。

好みのエピソードの感想を書いてゆきます。ネタバレを多少含みますので御注意を>

●第1シリーズ21話『兇悪のメロディー』
ゲスト佐藤友美。まるで岸惠子が演じた雪女みたいな、凍てついた美女ぶりが良い。題は『メロディー』だが歌うわけでなく、ピアニスト役。
たまに登場する捜査一課長・岡田英次、何故覇気のない感じなのか? 太めのタッチで描かれた署内のキャラ達の中で、浮いてて面白い。

●第1シリーズ23話『兇悪のシャンソン
ゲスト美輪明宏君島一郎オートクチュールを身に纏い、男役女役を華麗に演じわける。男役で跳ねる様は手塚治虫のキャラクターみたい。
『黒蜥蜴』コンビの天知と絡みは何故か少なめだが、やはり画になる。
ときに『非情』は出てくるレギュラーが毎度違うけど、今回は二枚目の宮口二郎刑事と、おちゃらけ左とん平を据えており、大正解。

●第1シリーズ24話『兇悪の回路』
前回に負けない、アニメっぽいカラフルさのあるハードボイルド。特に序盤10数分は素晴しい。どんでん返しの女、ジャズの男(まともな演奏シーンが無かったのは残念)……
地井武男はどこ? と思ってたら終盤でようやく気づいた。それもどんでん返し?
差し色として描く村松英子(和装)の場面、ボス山村聰と天知の仲良過ぎる様子も趣深い。

●第1シリーズ37話『兇悪のビーナス』
ゲスト太地喜和子。囁きのような台詞回し、焦点の定まらぬ眼……カメラワークやカット割りも、いつもより?幻想的。太地が退場した途端、現実に戻される気分に。
美輪さんの回の連作みたいに、フランス絡みの美術界の闇が描かれる(同じ絵も映った)。こちらの方が謎解きなど練られていると思ったら、前述の『回路』と同じ脚本家。
屋外のエスカレーターはどこなのか?

●第1シリーズ38話『兇悪の虚栄』
ゲスト木暮実千代! 70年代現代劇に彼女が在るというだけでも幻想的(出ていなくはないようだが)。シュールな壁紙と裸体画をバックに佇む姿が特に良かった。
年相応の柔らかな物腰で始まったと思いきや、人肉を喰らいそうな夜叉の顔も見せ(映画『鮫』を思い出す)……存在感に対しストーリーはやや生温いか。


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