武川蔓緒(つる緒)の頁

みじかい小説を書きます。音楽や映画の感想つぶやきます。たまに唄います。成分の80%は昭和です。

ドラマ『非情のライセンス』鑑賞記録<壱>

天知茂が特捜部刑事を演じたドラマシリーズ。基本ハードボイルドだが、回によってセクシーあり、直球な社会風刺あり、人情やユーモアもあり。ゲストは毎度、当時の名バイプレイヤーから、若手、大御所、流行歌手まで数多く登場。70年代カルチャーも楽しめる。
昭和48年から55年にかけ、3つのシリーズ、全202話が放送された。近年DVDも発売、CSでも再放送と、根強い人気。

好みのエピソードの感想書いていきます。ネタバレを多少含みますので御注意を>

●第1シリーズ1話『兇悪の門』
初手から天知の刑務所潜入。塀の中仲谷昇財津一郎名古屋章と香ばしく。特捜部の面々もまだ清々しいほどに非情。
そして後半登場のヒロインは加賀まりこ。なんと天知と1対1のワンシチュエーションで終始する。初回だというのにシンプルで、ある意味贅沢。

●第1シリーズ2話『兇悪の迷路』
この頃は原作に忠実だったのだろうか? 派手さはないが、台詞のやり取りにひんやりしたスリルが。その糸を操るのは野際陽子。元アナウンサーの力量も光る。70年代ファッションもよく映え。乗っている青のワーゲンもかわいい。

●第1シリーズ3話『兇悪な夜の匂い』
早くも派手に(笑)。正攻法でダメなら腕ずく拳銃ずくで壁を破る。後のシリーズを鑑みても、こっちの方がドラマ『非情』としては本領か。
対する悪役・今井健二南原宏治も、女を喰って生きる魑魅魍魎みたいで華があり。
ところで第1シリーズにおいて女優は刑事もおらず1回きりの人物ばかりだが、唯一準レギュラーとして謎めきつつ芳香をはなつ貴重な存在が、村松英子。この回では珍しく洋装。

●第1シリーズ4話『兇悪のサファイア
そしてまた「ひんやりスリル」の路線に戻る。この回は江波杏子で、後に再登場した際の能動的な?キャラとは別人格を演じきる。喪服が実に似合う。
デパートの風景が趣深い。あれはどこだろう?

●第1シリーズ10話『兇悪の骨』
ゲストは麻薬捜査官の赤座美代子西沢利明の二人。いずれも細面で、造りもどこかしら似ていて、今にも守るべき立場から崩れ堕ちそう……どっちが先に? とハラハラ。
ラストシーンは『第三の男』っぽい並木道で、ベタだけど空気感が良い。都内だと何処で撮るのかな。


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