武川蔓緒(つる緒)の頁

みじかい小説を書きます。音楽や映画の感想つぶやきます。たまに唄います。成分の80%は昭和です。

音楽を聴く<1>

高井麻巳子『いとぐち』(昭62)
基本統一感ある造りだが。高橋幸宏作曲(!)のテクノ寄りな『こわれかけたピアノ』から、ありそうで少ない和テイスト薫る『風鈴物語』への異色な流れが堪らない。
木綿のハンカチーフ』を更にシビアにした風な『約束』もいい。純朴な声に沿って悲恋がリアルに。

吉田真里子『詩華集』(昭63)
武部聡志プロデュース。海鳥の声をサンプリング?した『オルゴール』が特に好き。いつも端麗なアレンジの中に意外とヘンな音を時折混ぜこむのも氏の魅力。斉藤由貴と時期が被るので似通う所はあるが、歌声は二番煎じでなく1stにして天然でない確たる意志を薫らす。

今井美樹"femme"(昭61)
誰かが「1st以外の今井美樹が好き」と言ったが。馴染みの作家こそ少ないものの十八番のミディアム、お茶目なアップテンポ、陰と陽、夢と現、よそゆきと素顔のバランスが丁度良い言葉と音選び……方向性は始めからブレていなかった。
来生えつこが書いていたとは。

梶芽衣子『去れよ、去れよ、悲しみの調べ』(昭49)
田園にて、純白レースワンピース姿の梶芽衣子! 少女にも有閑マダムにも思えるビジュアル。
楽曲は更に振り幅広くフレンチアイドル風から凄味をきかせた歌謡曲まで。声も色を変えるが女優ぽくと言うよりは飽くまで歌手として真摯に向き合う印象。

上原さくら+東京ミュージックサロン"FLOWER SOUL"(平9)
渋谷系サウンド+聖子ルーツに相違ないアイドル声……不似合いと思いきや、お花畑を満面の笑顔でブルドーザー乗って突進するイメージが浮び趣深い。
明朗な長調ばかりでなく洋楽カバー"DON'T SPEAK"という妙味も。


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